時代を超えて憧れる人はいますか?
というわけで今回紹介する本は『男性論』です。
主な内容
著者のヤマザキマリが、自分が共感できたり、同時代に生きていれば恋に落ちていたりしたであろう男性たちについて語りつつ、古代ローマのようなワキワキ・メキメキを今の人生でも感じていこうよ! とすすめる内容です。
登場する主な男性
本書に登場する男性は、ちょっと例を挙げるだけでも古代ローマはプリニウスからフェデリーコ2世、ラファエロ、水木しげる、花森安治、安部公房そしてスティーブ・ジョブスまで色とりどりです。
なかでも「アテネの学堂」などの名画で有名な画家のラファエロに対しては、かなーり入れ込んでいるように思いました。ま、本書の中でそのモテっぷりが嫌というほど書かれていたせいかもしれませんが。
須賀敦子のイメージが一変しました
さて、数々の男性について書かれた本書でもっとも印象に残っているのは、女性である須賀敦子の記述です。
私自身、須賀敦子の本では『本に読まれて』とか『霧のむこうに住みたい』とか読んだ記憶があるのですが、静謐な感じの文章で、きっと本人も物静かで冷静で、上品かつ自律した方なのだと思っていました。
しかしそんな彼女について、ヤマザキマリが聞いた話ではこんな事実が。
「ある編集者に聞いたところ、実際に対面する彼女は「さいごまで毒舌は止まず」といったタイプだったそうです。ひとの噂話も、人物評価も大得意。くだんの編集者も「須賀さんは鬼ですよ、鬼」と笑っていました。(183-184頁)」
つい、おお怖っ、と思ってしまいましたが、そんな須賀敦子の知られざる姿をヤマザキマリは、「カッコイイ」というのだから参りました。格が違うぜ。
それにしても、多くの編集者が「須賀萌え」する状況というのは未だに想像できません。
こんなひとにおすすめ
本書に登場する人物が自身も好きだったり、興味があったりする場合には、一読してみると良いかもしれません。
その人の思いがけない一面を知ったり、ヤマザキマリから見たその人の良さ・素敵なところがわかったりする本だと思います。