一生サラリーマンする? 起業家になる? いいえ、人生の選択肢は他にもあります。
というわけで今回紹介する本は『FIRE 最強の早期リタイア術-最速でお金から自由になれる究極メソッド』です。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは経済的自立、早期リタイアのことです。ファイアーって響きも覚えやすいですね。
主な内容
貧しい家庭に生まれ育った著者のクリスティー・シェンが、100万ドルの資産を築きFIREを達成した、その過程が描かれた本です。
貯蓄率を見よ!
本書でいちばん印象に残った言葉はこれです。
「リタイアまでの期間は、あなたの年収に左右されるわけではありません。あなたの貯蓄に左右されるのです。」(第10章、6項、1段落)
目から鱗でした。確かに1,000万を超える年収があったとしても、1,000万円が生活費で消えていけばいつまでたってもFIREなんぞ不可能です。
逆に言えば、年収が300万円でも年間生活費が200万円なら、年間100万円の貯蓄ができるわけです。この100万円を投資に回して時間をかけて大きくしていく…するとあら不思議、お金がお金を生んで資産が増えていく、というわけ。
ミリオネア3つのタイプ…オプティマイザーを目指してみよう
著者は、パーソナルファイナンスの3つの力として①収入②投資③支出の3つの要素をあげています。3つの力のどれか1つが卓越していると、ミリオネアになれるというわけです。
①収入が高い人はハスラー
お金を稼ぐ力が高い人はハスラータイプです。本書で挙げられているのはロバート・キヨサキ、ティム・フェリス、スティーブ・ジョブズなど。
②投資が強い人は投資家
株式や不動産などへの投資を通じて、お金でお金を稼ぐことに長けている人は投資家タイプです。本書で挙げられているのはベンジャミン・グレアム、ウォーレン・バフェット、ジョン・ボーグルなど。
③節約志向の人はオプティマイザー
支出を抑えて貯蓄を増やす能力のある人はオプティマイザータイプです。本作の著者や、ピート・アデニー、JL・コリンズなどが挙げられています。
オプティマイザーのすごいところは、ハスラー、投資家と比べて、再現性が高いことです。
そうなんです。著者のクリスティーは特別すごい人という印象を読者に与えません。彼女は収入より少ない支出で着実に資産を増やし、FIREを達成したのです。
FIREを達成するために「起業して稼ぎまくるぜ」とか「投資で年〇%の利回りを狙うぞ」とか言われると自分には無理かな、と思ってしまいます。しかし「自分の支出を見直して貯蓄を増やしてみよう」といわれると一気にハードルが下がりませんか? できそうな気がしませんか?
FIREを「FI」と「RE」に分解して考える
今の会社好きだしFIREなんて興味ないや、と思っている人もいると思います。けど、仕事が好きてリタイアなんて考えない人だってFIREの「FI」(経済的自立)は目指してもいいはずです。
「経済的に自立するということは、必ずしも嫌いな仕事を辞めて世界を旅するということではありません。選択肢を持つということです。もし仕事を愛しているなら、ぜひその仕事を続けてください。」(第16章、5項、19段落)
本書を読めば人生の選択肢が増えると思います。著者の飾らない言葉は読みやすいですし、なにより「自分にもできそう」てな気持ちになります。
ま、クリスティーにはブライスがいたように、FIREの実現には頼りになるパートナーの存在が一番必要な気もしましたが。
(引用は クリスティー・シェン&ブライス・リャン(2020年)「FIRE最強の早期リタイア術-最速でお金から自由になれる究極メソッド」[キンドル版],検索元 amazon.com)