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『なにものにもこだわらない』(森博嗣)【感想】

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森博嗣といえば『すべてがFになる』の著者…という認識しかありませんでしたが、それ以外にもかなーりの著作があるのだと最近知りました。なんか読んでみるかな、と思ったところ、アマゾンさんからお薦めされたので本書を読んでみることに。

ということで今回紹介する本は『なにものにもこだわらない』です。

主な内容

本書では著者の森博嗣が、「「拘らない」ことの大切さをテーマにして、いろいろ思いつくことを綴って」(まえがき、8項、1段落)いる本です。「拘らない」ということについて徒然なるままに書かれていて、けっこう抽象的、漠然とした話が続きます。

ちなみに本書の題名『なにものにもこだわらない』は森博嗣の座右の銘だそうな。

「拘る」とは

「拘る」とは、度を過ぎて、過去に執着することだ。」(第1章、6項、1段落)

集団の場合、決断力はむしろ低下する。」(第5章、10項、5段落)

「拘る」とは、結局は視界を狭めること」(第8章、3項、2段落)

拘りとは、理由が希薄になっても、その状態を保持しようとすることだ。」(第9章、5項、4段落)

「拘らない」とは

「なにものにも拘らない」というのは、裏返せば、「自由」な状態に拘っていることである。」(第6章、1項、1段落)

結局のところ、「なにものにも拘らない」が目指すものとは、この「臨機応変」である。細かいことに拘らず、大雑把に考え、ぼんやりと想像する。」(第10章、9項、3段落)

なにものにも拘らない、という姿勢は、その姿勢自体にも拘らない。ということは、ときどきはなにかに拘るし、拘るにしてもほどほどになる。(中略)ここが、面白いところというか、実に本質的なところなのである。」(第8章、8項、2段落)

できるだけどれにも、ほぼ拘らないように、だいたい拘らないように、という緩さをもって当たる。一歩引いて考える、ということである。」(第3章、2項、1段落)

ほどほどに拘る

本書に書かれた言葉をいくつか羅列してみました。

一読して思ったのは、拘る=考えるのをやめること、拘らない=都度立ち止まって考えることなのかなということでした。

そういう意味では、仕事でマニュアルを作ることなんかも「拘る」ことになるのかと思いました。いちいち考えながら仕事していたら効率が悪くなるから、マニュアル作りますよね。それでマニュアルどおりやればいいやって思うと考えなくなりますから。時々は立ち止まって考えるというのも大切なのだな、と。

実用書的な本ではないと思いますが、無自覚に陥りがちな「拘り」について、善く考える機会になる本だと思いました。

(本文中の引用は 森博嗣(2019年)「なにものにもこだわらない」[キンドル版],検索元amazon.com)