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付きまとう男、『嫌な奴』(木原音瀬)【感想】

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生きていく中で、気が合わない人と出会ったとき、自分はその人に対してどんな態度をとるだろう。そして、そのことが後の人生にどう影響するのだろうか。

今回紹介するのは『嫌な奴』です。

あらすじ

「いい子」の杉本とわがままな三浦。学生時代、二人は「親友」だった。しかし、杉本はずっと三浦のことが嫌いだった。偽善から、表面的な優しさを見せていた杉本と杉本に対して異常なまでの執着をみせる三浦。中学卒業以来疎遠となっていた二人がひょんなことから同居することになり…。

「嫌な奴」と「恐ろしい奴」

題名を読んだ限りでは、「いやよいやよも好きのうち」的な話かなと思いましたが、全然違いました。まずもって全く明るい話ではありません。個人的には、三浦の杉本への執着(愛?)が恐ろしかった。杉本が自分のことを嫌っていると分かっていても杉本を欲するというところが恐ろしい。そんでもって心がだめなら体を! って思うような人ですからね。

一方で、杉本みたいな人は結構いるのではないかと思いました。仲良さそうなふりをして、その実相手がすごく嫌いで、裏で悪口を言っているような感じですかね。

こんな同性愛があるもんかねと思いましたが、しかし、この異常な関係は異性間では生じえないような気もしました。

 

作者の木原音瀬(このはら なりせ)さんは、BL小説の書き手として著名な方のようです。たくさん作品があるので、ちょっと興味がわいた方は他の本も手に取ってみてください。