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『か「」く「」し「」ご「」と「』(住野よる)【感想】

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今日が人生で一番若い日だと頭でわかっていても、若かりしあの頃を時々振り返りたくなります。

というわけで今回紹介する本は『か「」く「」し「」ご「」と「』です。青春小説です。

あらすじ

主人公は5人の高校生。人の感情が見えたり恋心が見えたり、人には隠しているが、それぞれが特別な能力を持っている。そんな能力を持っているせいか人のことが気になってしまったり、自分が嫌になったり、人の恋路を応援したくなったり。そんな青春の物語。

かくしごと

あらすじを見る限りは「かくしごと」=「隠し事」のことだと思っていました。けれど本書を読み進めると「各仕事(かくしごと)」という言葉が出てきます。

私達はひとりひとり性格も好みも考え方もまるで違うように、ひとりひとりにそれぞれ別の役割があるんじゃないかって。

それぞれが、各仕事を与えられて、そうやって皆が支え合っているんじゃないかって思い始めました。(320頁)」

うーむ、特別な能力をもつ彼らだからこそ、能力を使ってそれぞれの役割(=各仕事)をこなすという考え方もあるのかな…いや、能力なんて関係なしに、人間ってそもそもそういう生き物だよねと思いました。

ややこしいあだ名

主人公たちのあだ名は、「京くん」「ヅカ」「ミッキー」「エル」「パラ」です。最初は名前からもじったものと思っていたので、日本人の名前も大分変ったもんだ、と思いましたが違いました。「京くん」以外は名前と一切関係ないあだ名です。「パラ」なんてパッパラパーのパラだぜ。

パラ、幸せになって

さて、5人の主人公の内訳は女子3人男子2人です。これだけ見ると女子が1人余りますね…別にこの中でくっつけというわけではないですが。

話は、5人のうちお互いに気になっている2人を、みんなが影に日向に応援する形で進んでいきます。もどかしい2人の姿もいいですが、でもまぁ、パラよ、幸せになってくれ…と思った人も多いんじゃないでしょうか。

5人の主人公がそれぞれ違う性格なので、自身が共感できる人が見つかるかもしれません。どうせ自分なんて、と思うような人でも、「これは私だ!」と思える場面がきっとある、そんな青春小説でした。