五十音順ときくと、高校時代の出席番号を思い出します。
出席番号って1番最初か1番最後の番号だと入学式とか卒業式でちょっと面倒くさかった気がしますが(お辞儀の数が増えたり)、そうでなければあまり気にしたことはありませんでした。だけどもし五十音順に命を狙われることになったら?
今回紹介するのは『ABC殺人事件』、ポアロものです。Audibleで聴きました。
あらすじ
ポアロのもとへ配達された1通の手紙、それはポアロへの挑戦状だった。予告に違わず事件は起きた。アンドーヴァー(Andover)でAの頭文字をもつタバコ屋の女主人が殺されたのだ。そしてまた次の挑戦状が届く。
続く第二の殺人ではBの地でBの頭文字の人間が殺され、第三の殺人ではCの地でCの頭文字の人間が殺される…アルファベット順に起きる連続殺人の現場には、ABC鉄道案内が残されていた。
世間を騒がす非道な殺人犯は何者なのか、その動機は? ポアロが挑戦を受けて立つ。
寛大な殺人者?
本書の中で、ポアロは犯人のことを「寛大な殺人者」と表現することがあります。すなわち、事前に犯行を予告することで、無実の人が逮捕されることを未然に防いでいるというのです。
例えば、最初の事件で殺されたタバコ屋の女主人は、旦那と不仲でした。このため、普段なら真っ先に旦那が逮捕されそうなものですが、犯行予告があったためにそれが防がれたわけです。
この「寛大な殺人者」というところも犯人捜しのヒントだったのだ、と聴き終わってわかりました。うーむ。やはり、クリスティ作品では動機がとても重要ですね。
聴いて楽しい物語
アガサ・クリスティの作品は何作かAudibleで聴いていますが『ABC殺人事件』が一番聴いていて楽しい本だった気がします。内容が結構センセーショナルだからですかね。あとは話自体分かりやすいというのもあるかもしれません。
アルファベット順に人が殺されるって聞くとそら恐ろしいですが、ポアロがいるから安心して聴いていられます。正味9時間半くらいです。
自宅で過ごすことが多い今日この頃、動画や読書で目が疲れたら、耳を使ったレジャーはいかがですか? ゴールデンウイークのおともにどうぞ。