新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、ラ・フォル・ジュルネTOKYO2020も開催中止になりましたね。テーマはベートーヴェンだったそうで、楽しみにしていた人も多くいたと思います。しかししかし、たとえイベントが中止になっても、音楽を楽しむことは出来ます。部屋の中で、日常的にクラシックと触れ合うのはいかかでしょうか。
とうわけで今回紹介するのは『さよならドビュッシー』(ベートーヴェンにあらず)、第8回『このミス』大賞受賞作品です。
あらすじ
ピアニストを目指す女の子、香月遥。しかしある日家で火事に遭い、祖父と従妹を亡くしたうえ、自身は全身に大やけど負ってしまう。
絶望的な状況から執念に突き動かされるようにピアニストへの道を突き進む遥だが、その過程で何者かに命を狙われ、果ては死者まで出る始末。
遥の命を狙うものは誰か、殺人事件の真相は、そしてコンクールの結果はどうなるのか!
執念の女、美しい旋律へ至る茨の道
解説に「音楽+スポ根+ミステリのハイブリッド」とありましたが、まさにそんな小説です。恵まれた環境にいた主人公が、全身大やけどの絶体絶命の状態からコンクールに出場するに至ると聞いただけで、とてつもなくスポ根の気配を感じます。
個人的には、殺人事件に関して被害者、加害者それぞれがとった態度に若干違和感を覚えました。要はコミュニケーション大事ね、って話ですかね(違うか)。
聴きたくなりますクラシック
遥がコンクールで演奏するのはショパンとドビュッシーの曲です。予選ではショパンのエチュード2番と4番、本選ではドビュッシーの『月の光』と『アラベスク第1番』を演奏します。
ショパンとドビュッシーといえばかなり有名な作曲家で、特にドビュッシーの『月の光』は曲名も聞いたことがある人が多いのかと思います(私は『moon』というプレイステーション用のゲームで初めて耳にしたクチです)。
また、『アラベスク第1番』は本当にきれいな曲です。高校時代に音楽室で弾いている人がいました。曲の始まりは、水面に光があたって煌めいているような雰囲気だった記憶があります。
本書を読み終わったら絶対に何かクラシックが聴きたくなると思うので、ぜひ読書とあわせて音楽もお楽しみください。私のおすすめはドビュッシーの『アラベスク第1番』です。有名な曲なので、色々な演奏を聴き比べても楽しいと思います。