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『山女日記』(湊かなえ)【感想】

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山姥とか山ガールとかいう言葉は聞いたことがありますが、山女は初めて聞きました。

というわけで今回紹介する本は『山女日記』です。

主な内容

様々に悩みを抱えた女性たちが、山に登る話です。全8話からなります。

第1話は丸福デパートに勤めるOL2人が妙高山と火打山に登る話、第2話は同じルートを登っている別の2人の話といった具合に、それぞれの話がゆるやかにつながっています。共通しているのは、山を登るということ、そして登り終えた頃には、少し前向きになっていることです。

山は考え事をするのにちょうどいい

本書を読んで印象にのこった言葉は、「山は考え事をするのにちょうどいい(359頁)」です。頂上を目指しひたすらに歩を進めるうちに、余計なことを考えなくなるのかなと思っていましたが、まさか考え事をするのに向いているとは思いませんでした。じっくりと自分と向き合うことができるようです。

様々に悩みを抱える女性たちですが、私が一番好きになったのは美津子さんでした。バブルの雰囲気をまとった40代の女性。でもその実は…、てなところが魅力的でした。

おすすめ度:はなまる

私は登山をしたことのない人間ですが、本書はとても楽しく読めました。山や花のことなんか何も知らなくても十分引き込まれますが、山に登ったことのある人は、もっと面白く読める本だと思います。そして今更ですが、NHKでテレビドラマ化もされていたようです。

湊かなえさんといえば『告白』しか読んだことのない私のような人はぜひ、一度読んで欲しいと思える作品でした。