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夫で父親で殺し屋『AX アックス』(伊坂幸太郎)【感想】

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最近『名探偵コナン』の見過ぎか、殺し屋と聞くと黒の組織を思い浮かべてしまいます。しかし本書を読んで、殺し屋に対する一辺倒なイメージが少し変わりました。

ということで、今回紹介する本は『AX アックス』(伊坂幸太郎)です。

あらすじ

腕利きの殺し屋『兜』。しかし彼は妻一人子一人を持つ文房具メーカーの社員でもあった。息子が生まれた頃から、殺し屋稼業を辞めたいと思っているが、なかなか仕事を辞めさせてもらえないでいた。そのうち自身の身に危険が近づいていることに気づき…。

果たして殺し屋稼業からの決別はできるのか?親子二代にわたる家族の物語。

恐妻家の殺し屋

主人公の兜は殺し屋ですが、同時に極度の恐妻家です。例えば、妻の機嫌を損ねないための相槌の打ち方をノートに書き記したり、深夜に音を立てずに食べられる夜食について考察したりしています(ちなみに魚肉ソーセージがベストだそうです)。で、市井の恐妻家の人と共感しちゃったりします。

この辺、共感できる読者もいるのではないでしょうか(私はさにあらず)。

この世は殺し屋ばかり

通常の場合、会社は辞表を出せば辞められるものだと思いますが、殺し屋稼業はそうもいかないようです。そらそうだわな。

辞めるといっても辞められず、うかうかしていると殺られる…ある時は美人教師、ある時は老人、ある時はタクシー運転手…。この世は殺し屋だらけです。

殺し屋が主人公ですから、当然に殺人はぽんぽん起きるわけですが、物語は何となくコメディ調です(「殺し屋」という職業から連想されるイメージと、兜の性格とのギャップでしょうかね)。

家族思いのお父さん(殺し屋)のハートフルな話、そんな話があるんかいなと思ったら、読んでみてください。