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『カソウスキの行方』(津村記久子)【感想】

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津村記久子さんの作品をたくさん読もう(2回目)。

というわけで今回紹介する本は『カソウスキの行方』です。

あらすじ

イリエは28歳の独身女性。本社で営業事務の仕事をしていたが、社内不倫カップルの軽いプレイに巻き込まれ、閉鎖対象の倉庫へ左遷された。倉庫では年下の男のもとで雑用をこなす毎日。そんなやる気のない日々を脱すべく、同僚の森川を好きになったと仮定してみることに。果たしてカソウスキ(仮想好き)の恋(?)の行方は。

恋愛はすごいなあおい

倉庫へとばされたイリエさんは、近くに住んでいる友人のしおりさん宅に居候しています。そのしおりさんが結婚することになります。過去の辛い失恋を乗り越え、幸せそうなしおりさんとの電話を終えてでた言葉が「恋愛はすごいなあおい(39頁)」です(ただし棒読み)。すごく印象に残った台詞でした。

ま、これがきっかけでイリエさんはカソウスキを始めたのだから、やはり恋愛はすごいですね、恋をしない人にとっても。

興信所ごっこ?

森川を好きになったと仮定した後、森川の健康診断票をチェックしたり、パートさんとの関係を調べたりしているときに、「好きごっこというより興信所ごっこではないか(45頁)」と冷静に思っているイリエさんがツボでした。

 

カバーに書かれている「恋愛“しない”小説」という文句も興味深いですし、なによりカソウスキって発想が面白いと思いました。