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『この世にたやすい仕事はない(津村記久子)』【感想】

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会社の昼休み。食後にぶらぶら本屋をほっつき歩いていたらふと目につきました。そういえばいつか読もうと思っていた本でした。

ということで今回紹介する本は『この世にたやすい仕事はない』です。

あらすじ

ストレスに耐えかねて前職を辞めた主人公(30代女性)が、5つの仕事を巡っていく物語。

色んな仕事があるもんだ

主人公が転々とする5つの仕事は以下のとおり。1つ目からそんな仕事あるのか、とびっくりしました。「みはりのしごと」と言っても毛利小五郎がたまにやっている張り込みみたいなのではなく、監視カメラの画像をひたすら見る仕事です。しかも基本的に倍速不可、これはきつい。

1 みはりのしごと

2 バスのアナウンスのしごと

3 おかきの袋のしごと

4 路地を訪ねるしごと

5 大きな森の小屋での簡単なしごと

また、仕事が変われば人も変わるわけで、仕事内容もさることながら出てくる人も面白い。特に江里口さんが気になりました。

仕事を転々とするのも悪くない

読み終えてみると、1つの会社でずっと同じような仕事しているのがなんだかもったいない気がしてきました。なかなか今の仕事を辞める勇気は出ないですし、この物語の主人公のように「辞めるか病むか」なんて状況に追い込まれたくもないのですが、もっと気軽に転職できたらいいのになぁと思いました、最終的に元いたところに戻るとしても。

最後に、主人公からの有難いお言葉をば

だいたい何をしていたって、何が起こるかなんてわからないってことについては、短い期間に五つも仕事を転々としてよくわかった。ただ祈り、全力を尽くすだけだ。どうかうまくいきますように。(424頁)」

今の状況からちょっとはみ出す助けとなる1冊かもしれません。