最近読んだ本で数学面白い、となったので、理系ミステリーを読んでみました。
ということで今回紹介する本は『眼球堂の殺人 ~ The Book~』です。周木律の「堂」シリーズ第1作目です。
あらすじ
放浪の数学者十和田只人(とわだただひと)は、建築家驫木煬(とどろきよう)の招待を受け眼球堂へと赴く。それは巨大な眼球を模した尋常ならざる建物だった。
各界の天才が集まる中、建築学の優位性を滔々と語る驫木。しかし次の日招待客たちは彼の無残な姿を目にすることになる。それは殺人劇のはじまりだった。密室となった眼球堂で彼ら襲うものは一体。
眼球堂
「堂」シリーズということで、殺人事件のトリックに当然建物の構造が関わってきます。が、眼球堂の名の通りその仕掛けも「眼球」の構造をイメージすればよい、ということで、トリック自体は意外と想像できました(ちゃんと理解したわけではないです)。
また、用意されている図面もわかりやすく、図面とか苦手な人も意外といける、そんな印象の作品です。
ジャーナリスト陸奥藍子
十和田只人は彼の追っかけをしている陸奥藍子と眼球堂を訪ねます。男女コンビものというと最近読んだ貴志祐介の榎本径シリーズを想像しますが、十和田只人は陸奥藍子に一目置いているという点で違いますね(失礼)。
探偵とアシスタント的な役割の男女コンビって間々ある気がしますが(我孫子武丸の人形シリーズとか、森博嗣のS&Mシリーズとか)、陸奥藍子は中でも独特な立ち位置にいます。「堂」シリーズは本作しか読んだことないですが、他の作品にも登場するのだろうか……。
図面は怖くない
正直なところ犯人がなぜ殺人を行ったのか理解できませんでしたが(おい)、話自体には引き込まれ一気読みしました。
「館」シリーズとか「堂」シリーズとか、建築系ミステリーに苦手意識を持っている人にも本作は読みやすい(なにせ眼球がモチーフですから)作品だと思います。食わず嫌いしている人に読んでみて欲しい作品です。