今回紹介する本は『四十歳、未婚出産』です。
あらすじ
主人公の宮村優子は旅行代理店に勤める40歳の独身女性。出張先での一夜の過ちから思いがけず妊娠してしまった。年齢的にこれが出産の最後のチャンスかもしれない。だけどお腹の子の父親である若い部下の水野には可愛い恋人がいる。周りには不妊治療を諦めた同僚、未婚出産へ偏見のある田舎の親、マタハラ上司……。この危機を乗り越え円満出産にこぎつけることが出来るのか?
モテる優子
結論、優子は高校時代の同級生で住職の近藤凡庸と結婚し、2人の子どもとしてお腹の子を育てていくことになりました。凡庸のほかにも関口というこれまた高校時代の同級生が優子の夫となってもいいと言ってきます。いやはや、優子モテますね、うらやましい限りです。
優子が一番聞きたかった言葉
本書を読んで思ったのは、優子は、子どもを産むか産まないかより、子の父親である水野に妊娠の事実を告げるかどうか、ということに非常に悩んでいるなぁということでした。
イケメンで仕事ができ、可愛い彼女もいる水野。しかし彼の思わぬ残虐性にお腹の子の父親であることを告げられない。でも事実は知らせるべきではないか……。
そんな時、優子の兄嫁であるマリアからの言葉を聞き、やっと安心できたのでした。
「ツネルノハ暴力ダヨ。そんな男ニ妊娠ノコトヲ言ッタラ、ダメダメ」
「私ノ友ダチ苦労した。二度ト会ウナ。」(326頁)
実際問題、未婚で妊娠した女性が相手にその事実を告げるのは(相手との関係により)難しい場合も多いのかなと想像しますが、そういう時には経験者の言葉ほど頼りになるものはないよなと思います。
優子と同じように悩んでいる人がいるなら、本書を読んでちょっと安心してみたり、同じような経験を持つ人たちを頼ったりしてほしいなと思いました。