ミステリー

短編集を読もう『教会で死んだ男』(アガサ・クリスティ)【感想】

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長編小説だと、途中まで読んでいたのについうっかり別の本やらゲームやらに浮気してしまい、気がついたら数か月放置。続きから読むも内容を覚えておらず結局また最初から読む羽目に…ということもありますが(まぁそういう本は無理やり読む必要もないかもしれませんが)、短編なら手戻りも少ないはず。

ということで今回紹介するのは『教会で死んだ男』です。13編からなる短編集で、ポアロが登場するものが11編、マープルが登場する話が1編あります。残り1編はポアロもマープルも登場しない怪奇ものです。

なつかしのヘイスティングス

本作のポアロものには、大体ヘイスティングスが出てきます。

ホームズにはワトソンがいるように、ポアロの相棒はヘイスティングスのイメージがありますが、実際には長編にヘイスティングスが登場することはあまりありません。なので、本作の中でヘイスティングスがポアロと一緒にいると懐かしい気持ちになります。

本作のポアロものでは、「スズメ蜂の巣」が他の短編とちょっと味わいが違うものとなっています。ヘイスティングスは登場しませんが。

マープルはいつも通り

表題作の短編「教会で死んだ男」はマープルものです。牧師館で瀕死の男を見つけた牧師の妻バンチが、男の遺言を果たすためマープルに助けを求めるというお話。行動的なマープルが今回も頼もしい。

 

クリスティは長編でも読みやすいですが、短編も読みやすい(当たり前か)。短編の中には、長編のもとになっていると思われる作品もあり、それを探してみるのも面白いかもしれません。

ちなみに、クリスティの自選ベスト10に含まれる短編集は『火曜クラブ』です。作者本人が面白いと言っているこの作品も読んでみてはどうですか?

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