ミステリー

殺されに来た男『複数の時計』(アガサ・クリスティ)【感想】

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腕時計、置時計、壁掛け時計…スマートフォンが台頭する前は、皆時計を使って時間を確認していたかと思います。

というわけで(?)、今回紹介するのは『複数の時計』です。ポアロものです。

あらすじ

秘書・タイプ引受所に勤務するシェイラ・ウェッブは、速記タイピスト派遣の依頼を受け、依頼人のもとへ向かった。しかしそこで目にしたのは知らない男の死体だった。

部屋に置かれた複数の時計、死んだ男の正体、誰が彼女を呼んだのか…。多くの謎が残る中、第2、第3の殺人が起きる。

なつかしの職業:タイピスト

シェイラの仕事場は秘書・タイプ引受所で、小説のタイプをしたり、速記タイピストの派遣をしたりしています。シェイラがそうであるように、若い女性のタイピストが働いています。

タイプライターが出てくると時代を感じます(本作の発表は1963年)。昔、映画『太陽がいっぱい』で、アラン・ドロン演じる主人公がタイプライターを使っているのを見て憧れていたのを思い出しました。

これまた昔の話ですが、10年くらい前にとある文房具店でオリベッティ社のタイプライターを売っていましたね。4万円くらいでした。欲しかったなぁ…けど高くないか? もはやアンティークなのかも。

複数の時計…?

本作はポアロものですが、ポアロ自身はほとんど出てきません。さらに、題名にもなっている複数の時計の意味が分かった時、「…え? 」となる人も多いかと思います。

ま、美人のタイピストとか、秘密情報部員とか、ささやかなロマンスといった言葉に興味がある方は、クリスティのこんな作品を読んでみるのも面白いかと思います。