『定年オヤジ改造計画』では、専業主婦が毎日料理を作るプレッシャーとか、しんどさみたいなものが描かれていた記憶があります。それはなにも小説の中の話ではなく、実際に料理に苦しんでいる人がこんなにいるなんて! でも大丈夫、しんどさから抜け出すちょっとしたヒントがここにあります。
ということで今回紹介するのは『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』です。
苦しみが憎しみに変わる?
手作りでなければ、3食作らなければ、栄養バランスを整えなければ…数々の「ねばらならい」という思いにとらわれて、毎日苦しみながら料理をする人々(ママとか妻が多いでしょうか)。だけど家族は食べるだけ食べて、感謝もしなければ後片付けもしない。もっと言えば、お腹がすいたときに食べられて当たり前、美味しくて当たり前で、時間が遅くなったり味付けが気に入らないと文句まで言われる始末。
うーん、確かにやってられませんな。そりゃ苦しみが憎しみに変わるのもわかる気がします。
他人を変えるのは大変。だけど自分自身が「ねばらない」の呪縛から逃れることが出来たらどうだろう、少しは楽になるのでは?
例えば、手料理=愛情なのかな? 3食ともちゃんとした料理じゃなきゃダメなのかな? といった感じのことがやさしく書かれています。
料理を作ることのハードルを下げよう
他にも、洗い物を減らそうとか、味付けはセルフサービスにしようとか、料理を作ることへのハードルを下げるアイデアがいっぱいあります。そして巻末には本当に簡単そうな料理のレシピが載っています。個人的には包丁とまな板を排除するレシピが有難かったです。
あなたが輝いてこそ!
本書で印象的だった言葉は、作者が取材したパリの女性の放った言葉でした。
「家で料理ばっかり作っていたら、私のサンシャインが輝かないじゃない」
「私が輝いてこそ家族が輝くのよ」(30頁)
ははぁ、世界にはこんな考えがあるのか。この女性にあやかって自分も気楽にいこうってな気持ちになりませんか?
タイトルのとおり、料理を作るのがしんどくなった人が本書を読めば、まずコウケンテツの暖かい言葉に慰められ、そして巻末のレシピは簡単で美味しそうで、作ってみようかな、なんて気持ちになる1冊だと思いました。