津村記久子の本を何冊か読んで、もっと知りたい、と思ったので本書を手に取りました。
ということで今回紹介するのは『枕元の本棚』です。
主な内容
津村記久子による読書案内です。全58冊の本が紹介されています。以下6つのテーマに分かれています。
第1章 絵本と児童書
第2章 ごはんと生活
第3章 開いたページを読んでみる
第4章 眺めるための本
第5章 このぐらい頭がよかったらなあ
第6章 スポーツの本
6章に分かれていますが、どのページから読んでも問題なく面白いです。出てくる本は皆読んでみたい気持ちになります。そりゃ著者が面白いと思った本を紹介しているのだから、どれも面白くみえて当然なのかもしれませんが…。
そんでもって、ここに紹介された本が小説の源泉(の一部)になっているのだなと思いました。単純な例ですが、『とにかくうちに帰ります』に出てくるスポーツの話とか。
人に惹かれる?
第6章スポーツの本に出てくるのはサッカーとかサイクルロードレースに関する本なのですが、各本の紹介を読んで、著者は人間の強さ弱さに惹かれているのかなと思いました。
あと津村記久子の好きな人のひとりにシモーヌ・ヴェイユの名前があって、へぇぇと思いました。自分は昔にシモーヌ・ヴェイユの本を1冊読んだことがありましたが、フランスの哲学者で、裕福な家庭の出だけど自ら労働者として工場で働いたとか、両親の影響でものすごく潔癖症だったとかくらいしか覚えてなかったので(肝心な思想の部分はどーした)、改めて読んでみようかと思いました。
特に読んでみたい本
58冊の中で特に興味をひかれたのは『評伝ナンシー関「心に一人のナンシーを」』(横田増生)でした。私は「ナンシー」と聞くと『はやて×ブレード』(林家志弦)の登場人物の「斗南柊」(となみしゅう、あだ名がナンシー)を思い浮かべる程度の人間です。いや、斗南柊大好きです。が、こちらの「ナンシー」は消しゴム版画家でコラムニストの方のようです。
「陽気で太っ腹で、でもどこかシャイなナンシーについてのそれぞれの挿話は、読む者も微かに幸せにしてくれるような明るさを漂わせている。(233頁)」
などと書かれていて、読みたくなりました。
あと『江豆町』(小田扉)も気になります。架空の町「江豆町」が舞台の短編集。
「江豆町という場所は、家族関係や、特定のコミュニティから疎外された彼らを、穏やかに受け止める。(145頁)」
知らない本の一端を知り、読みたくなる。そんなエッセイでした。