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『青い星まで飛んでいけ』(小川一水)【感想】

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久しぶりに『錦繡』を読んで、過去を振り返ったので、次は未来に思いを馳せてみよう…。

ということで、今回紹介するのは『青い星まで飛んでいけ』です。SFの短編集です。全6編で、どれも未来の人類について描かれています。今回はそのうち1編について紹介します。

「静寂に満ちていく潮」あらすじ

ヌーピー(体を造り替えた人間)のテミスは、異星人探しをしていた。そしてレクリュースというテバス族の異星人を発見し、交流を始める。落ち着いた性格や深い思索、ひっそりした生活態度をもつレクリュースに、テミスは次第に惹かれていく。そして2人は生き物としての本能に従い交わるのだった。

デジタル性交の時代?

…文字通り人と異星人の交わりの話でした。この作品の時代では、性交にかわる新しい交わりである「感交(シンフォックス)」が一般的な交流手段となっています。やっていることはいわゆる性交と同じように見えますが、実際には相手とは指一本触れず、デジタル信号のやり取りだけで交わるらしいですぞ。

果たしてそんな未来がくるのかいな? と思いつつ、この辺りは興味のある人も多くいると思うので、将来的には実装されるかもしれませんね。本書では、人工義肢の開発からこの技術が作られたことになっていますから。…もしかして既にある技術だったり?

想像できないもの

SFといっても、過去に読んだ『回遊人』や『リプレイ』と違って、現代とはかなり異なった未来が描写されています。それゆえ、本書を読んで、自分の想像力のなさを実感しました。例えば異星人レクリュースの容姿一つとっても、なかなか頭の中で像が結べず。

ちなみにレクリュースの容姿は、①子馬くらいの大きさである。②五体節の甲虫である。③コーヒー色の繊毛に覆われている。④ヘラ状に発達した大顎を持っている。ということです。皆さんはどのような想像をしましたか?

全編を通じで面白いと思える短編集でした。とびきり先にあるかもしれない未来について、ちょいと覗いてみるのはいかがでしょうか?