コロナウイルスの関係で、「外出自粛」要請がされた頃、最近最寄りのスーパーに行ってなかった食材。パン、牛乳、納豆、そしてバター。マーガリンは売れ残っていました。ってことはマーガリンよりバターを使う人が多いのでしょうかね?
ということで、今回紹介する本は『BUTTER』です。
あらすじ
首都圏連続不審死事件の被告人、梶井真奈子。若くも美しくもない、むしろデブでブスといわれる彼女がなぜ複数の男を虜にし、多額の金を貢がせたのか。
梶井との面会を取り付けた記者の町田里佳は、梶井との面会を通して少しずつ変容していく。そしてその変化は彼女自身にとどまらず、親友の伶子をはじめとした人間関係にも影響を及ぼしていく…。
適量を探せ
「バター醤油ご飯を作りなさい」、初めて梶井と面会した際に言われた通り、高級なバターを使ってバター醤油ご飯を作る里佳。そこから色んなものを作っては食べ、作っては食べ、で最終的には10キロ近く体重を増やすことになります。もともとスレンダーな人だったため、周りの人からは「太った? 」ということを言われる。恋人にも太ったことを指摘され、否定される。体型に対する人の目の厳しさを改めて感じました。
でも、人から押し付けられるイメージに絡めとられることなく、試行錯誤を繰り返して、最後には自分にとっての「適量」を見つけるという考えはいいものだと思いました。
話は梶井がなぜ男を殺したのかということよりも、里佳をはじめ梶井に翻弄される女たちを中心に進んでいきます。内容はシリアスで、里佳が梶井に翻弄され、ずたずたになっていく様は読んでいて辛いものでしたが、もちろん最後に救いはあります。よかった。
そしてまた、本書にはバター醤油ご飯を筆頭に色々と美味げな料理が出てきます。そのおいしそうな雰囲気を味わってもいいかもしれません。
自分で自分を食わせていく
本書を読み終えてふと頭をよぎったのは、稲垣恵美子の『もうレシピ本はいらない』という本です。「自分で自分を「食わせていく」」という考え方が、本書と共通しているかなぁと思いました。
こちらの本はエッセイで気軽に読めるので、あわせてどうぞ。