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『ワーカーズ・ダイジェスト』(津村記久子)【感想】

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津村記久子さんの作品をたくさん読もう(4回目)。

というわけで今回紹介する本は『ワーカーズ・ダイジェスト』です。

あらすじ

佐藤奈加子は大阪のデザイン事務所で働く中堅の32歳。もうひとりの主人公佐藤重信は東京の建設会社に勤めている。仕事で一度会ったきりの2人は、奇しくも同じ生年月日だった。何度も仕事の訂正を求めてくる取引先や理解に苦しむ苦情。家に帰って寝たいだけのくたびれた日々を過ごしながら、2人はふとまた出会う。

共感ポイント

本作を読んで「わかるわ」と思うことがいくつもありました。

目覚まし時計の設定

奈加子の目覚まし時計の設定は7時45分と7時53分。この8分の間にパンを焼いて顔を洗って、焼いたパンにバターを塗って…ということをしたいと思っているけれど、結局45分に起きることはできない。さらにこの8分間に夢を見すぎているという自覚があるところもすごくリアルだと思いました。しかしまぁ時間設定の細かいこと!

駅の改札に家の鍵

改札に定期を突っ込まなければいけないのに、なぜか家の鍵を出そうとしたりして、本当にだめだと思う。(15頁)」

家の鍵はないですが、入館カードと定期を間違えてタッチすることは間々ありますわ。

片付かない部屋、眠りこける休日

年末はとりあえず引越しの荷物を半分は開封しよう、と十二月に入ってからずっと思っていのだが、(中略)納会の次の日からほぼ二日間眠り続け(148頁)」ているというのも、すごく共感しました。仕事に疲れちまうのよね。

 

良くはない、しかし悪くもない30代の働く人(地味目)の様相が垣間見える気がする小説でした。