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『解放 ナンシーの闘い』(イモジェン・キーリー)【感想】

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ナンシー関の評伝を読んでから、「ナンシー」の文字に過剰反応するようになりました。

というわけで今回紹介する本は『解放 ナンシーの闘い』です。

主な内容

第二次世界大戦下、ドイツの占領下にあったフランスでレジスタンス組織のリーダーとして活躍した実在の女性、ナンシー・ウェイクの物語です。

行動の人

オーストラリア出身のナンシーがレジスタンス活動をするきっかけとなったのはユダヤ人の迫害を目撃したことだったそうです。実業家の夫アンリ・フィオッカの協力のもと亡命者の国外脱出の手助けなどをしていました。しかし、アンリはゲシュタポに捕まり、ナンシーもイギリスに逃げることになりました。

辛くもイギリスへ逃げたナンシーでしたが、そこでおとなしくしているわけではありません。特殊作戦執行部(SOE)に加わり、訓練を受け、工作員としてフランスへ舞い戻ったのです。

いやはや、とにかくじっとしていられない人だったのだろうと思いました。勇敢すぎるわ。

フランスに赴任したナンシーの役割は、現地のレジスタンス組織「マキ」を指揮してドイツ軍に対してゲリラ戦を展開することでした。

想像に易しいですが、イギリスからやってきた女のいうことなんて当然誰も聞きません。逆に殺されそうにもなるわけです。しかし最終的には組織をまとめ見事ドイツ軍を罠にはめることに成功するのだからすごいです。戦争を生き残っただけでもすごいのに。なんなら戦後98歳(2011年没)まで生きたというナンシー、生命力が半端ないですね。

意外といた女性工作員たち

自ら前線に飛び込むナンシーみたいな女性なんて他にいるわけないよな、と思ったのですが「SOEがフランスに派遣した工作員はおよそ四百七十人で、うち三十九人が女性だった。(476頁)」ということですから、意外といたのだな、と思いました。

本書を読んで、こんな女性がいたなんて! と驚いたと同時に、他の女性工作員の話も読んでみたい気持ちになりました。本書の映画化も予定されているようなので、こちらも楽しみです。