『死が最後にやってくる』の解説で「クリスチアナ・ブランド」の名前を知った時から読んでみたいと思ってました。
というわけで今回紹介する本は『招かれざる客たちのビュッフェ』です。短編集です。
収録作品
本作は短編集で、以下16篇の作品が読めます。
1 事件のあとに
2 血兄妹
3 婚姻飛翔
4 カップの中の毒
5 ジェミニー・クリケット事件
6 スケープゴート
7 もう山査子摘みもおしまい
8 スコットランドの姪
9 ジャケット
10 メリーゴーランド
11 目撃
12 バルコニーからの眺め
13 この家に祝福あれ
14 ごくふつうの男
15 囁き
16 神の御業
ブラックユーモア?
一通り読んでみて、結構後味の悪い作品が多いなと思いました。笑えないブラックユーモアのような。
善人過ぎる人も悪人過ぎる人もおらず、全編通じて登場する人もいません(強いて言えば、序盤の作品にコックリル警部という人が登場するくらい)。つまり、読んでいる最中は誰も信じられないです。
確実に落としてくる
例えば「メリーゴーランド」では、主人公のハートリイ夫人が死んだ夫の弱みを知る人物から脅迫されています。しかし次には夫人自身が脅迫者になり…。この「脅迫のバトン」が回っていく様がすごいなと思いました。そして因果応報ともいうべきオチもある。
「ジェミニー・クリケット事件」は物語の最後で場面が俯瞰されたときに「!?」となるし、「スコットランドの姪」もオチが2転3転していきます。
とにかく予測不可能(と思われる)オチがあり、それが16回味わえますので、短い時間で刺激が欲しい方にお勧めです。
他の作品も気になります
「メリーゴーランド」では我孫子武丸の『0の殺人』、「神の御業」ではウィリアム・L.デアンドリアの『ホッグ連続殺人』を思い浮かべました。ちと安直かもしれませんが。
クリスチアナ・ブランド作品では『緑は危険』『ジュゼベルの死』『はなれわざ』などが有名なようです。こちらも機会があったら読んでみたいものです。