ミステリー

人生最期の夏『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)【感想】

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有名なミステリーを多数発表しているアガサ・クリスティですが、なかでも『そして誰もいなくなった』は代表作として知る人も多いと思います。

初めて読んだときはあんまり怖くて、部屋のドアを開け放ち、電気をたくさんつけて読んだことを覚えています。ミステリーというかホラーなんじゃないの、と思っていました。怖いのに読まずにはいられない、なんて本だ!

あらすじ

8月のある日、兵隊島と呼ばれる孤島に10人の男女が招待された。だが客がそろっても招待主は姿を現さない。

最初の晩餐のあと、部屋に10人を告発する声が響き渡る。そして招待客が1人、また1人と死んでいく、マザーグースにうたわれた10人の兵隊のように。

異常な正義感を持つ殺人者

物語の最後は犯人の手記になっています。人を殺したいという強い衝動と、罪のないものを殺すことは出来ないという強い正義感。この二つを併せ持つ犯人は、法律では裁けない殺人を犯した人を探り出し、殺害するという異常な計画を思いついたのでした。ひええ。

孤島で、周りの人がひとりずつ死んでいくなんて状況に自分が追いやられたら、発狂します。しかもその理由が明確で、自分が過去に犯した罪により、この島へ招待され死を待つしかないなんて…。

いつ読んでも空恐ろしいですが、嵐の夜に、静かにこの本を開いてみると、雰囲気が一層あるかもしれません。読み終わったら、自分の来し方について考えてみちゃったりして。

私のように小心な方は、読後の気付けとして、明るい本や音楽などを用意しておくことをお薦めします。