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『ポースケ』(津村記久子)【感想】

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『ポトスライムの舟』で好きな登場人物はヨシカ。そのヨシカの物語とあれば読まないわけにはいきません。

というわけで今回紹介する本は『ポースケ』。「ポースケ」とは、ノルウェーの復活祭のことらしいです。『ポトスライムの舟』の5年後の話です。

あらすじ

ヨシカが店主を務める喫茶店「ハタナカ」。小さなお店にいるのはお客さん、パートの竹井さん、とき子さん、そしてヨシカ。

睡眠障害、子どもの就活、勤務先の人間関係、学校のおっかない先生。思い思いの悩みを持ちながらも明日を生きる彼らたちの、ゆるやかな物語。

『ポトスライムの舟』から5年

本書には『ポトスライムの舟』で主人公だったナガセとその仲間(そよ乃、りつ子、りつ子の子どもの恵奈、そしてもちろんヨシカ)も登場します。彼女たちのその後を読むことができるなんて、とうれしい気持ちになりました。

登場人物の独白に共感

たとえば職場の人間関係にちょっと問題をかかえるのぞみさんの「小学生の時から、帰り道に同級生がいたら、わざとゆっくり歩くか、道を変えるか、知らんふりをして追い越す方だった。(53頁)」というところや、睡眠障害をもつ竹井さんの「人間はどうして、今起こっていないことに苦しんだりするんだろうか。今がなんとか安全なら、なぜそれでいいと割り切れないのだろう。(117頁)」というところにすごく共感しました。

『ポトスライムの舟』でも感じたことですが、津村記久子さんの書く小説には共感する人が多いのではないかなと思いました。だからか、読んでいると不思議と安心感があります。

ちなみに私が一番ぐっときたのは、就職活動に苦労している娘を助けたいとき子さんのエピソード「亜矢子を助けたい」でした。

『ポトスライムの舟』が気にいった人は、『ポースケ』もおすすめです。ところで、恵奈がおばあちゃんから買ってもらった「敵である悪魔を仲間にして、合体させたりできるゲーム(101頁)」って女神転生ですかね?

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