ミステリー

『ミステリー・アリーナ』深水黎一郎【感想】

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本格ミステリ・ベスト10の第1位、ミステリが読みたい!の第3位、週刊文春ミステリーベスト10の第4位などと謳われた帯を目にしたら読みたくなりました。

ということで今回紹介する本は『ミステリー・アリーナ』です。

あらすじ

年に一度のお楽しみ、国民的娯楽番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」が始まった! 今回の舞台は嵐で孤立した別荘、そこで起きる殺人事件! 果たして14人のミステリーヲタクたちは、物語が終わるまでに謎を解くことが出来るのか? ヲタクたちの珍妙な推理が炸裂する中、現実の舞台でも事件は進行していた!

ミステリー読みのプロ、その推理が面白い

「推理闘技場」に出場しているのは14人のミステリー読みのプロ(=ミステリーヲタク)です。この人たちがテキストを読んで犯人を推理するのですが、まずもってその推理が面白い。

個人的には、「丸茂」の俺様系女子説とか、「並木」犯人説とか、床の上でゴロゴロしたり体を伸ばしたりしている「たま」を人間(しかもバレリーナ)と推理するところとか、にやにやが止まりませんでした。

性別を誤認させたり、登場人数を誤認させたりする叙述トリックを用いたミステリーを読んだことがあると、よりこのヲタクたちの推理が面白く感じられると思います。

徐々に明らかになる「推理闘技場」の設定

当然、作中作の犯人あてだけでは本作は終わらず、娯楽番組「推理闘技場」を巡る攻防みたいなものもあるのですが、こちらはその設定に「!?」となりました。序盤から不穏な言葉が出てきたりするのですが、そういう世界観だったんかい! となります。どうりで賞金がキャリーオーバー続きで20億円にもなるわけだ。

ミステリーを読んだことがある人に特におすすめ

全編通して、とても真面目にふざけている感じがする作品で、読んでいてかなり面白かったです。特にミステリーヲタクが次々に推理を披露する部分が面白く、何度かミステリーを読んだことがある人はきっと楽しめると思います。ぜひ一度読んでみて欲しい作品です。