ミステリー

『ミステリークロック』貴志祐介【感想】

Photo by Blaz Photo on Unsplash

今回紹介する本は『ミステリークロック』です。防犯探偵・榎本径シリーズで4作品が収められています。

収録作品

以下4作が収められています。

1 ゆるやかな自殺

2 鏡の国の殺人

3 ミステリークロック

4 コロッサスの鉤爪

トリックが複雑

一読して思ったのは、トリックが複雑、というものでした。特に2作目と3作目は未だに「?」の感じです。逆にいうと複雑なトリックが好きな人にはうってつけの本かもしれません。

コロッサスの鉤爪

4作の中で一番印象に残ったのは「コロッサスの鉤爪」でした。

舞台は海の上。被害者の布袋悠一は夜のイカ釣り中に溺死した。その体には鮫の噛み跡と巨大イカ(?)に襲われた形跡が。屈強なダイバーの死は不慮の事故かはたまた計画殺人か……という話。

弁護士青砥純子

榎本径シリーズは『硝子のハンマー』のみ読んだことがある私ですが、青砥純子ってこんな人だったっけ、と思いました。『硝子のハンマー』では正義感の強い弁護士というイメージでしたが(『名探偵コナン』でいうところの佐藤美和子警部補的な)、本作では完全なるギャグ要員に見えました。休日の青砥純子ということなのか、シリーズのなかでだんだんコミカルな性格になっていったのでしょうか?

そのおかげもあってか、トリックの部分が分からなくても、榎本径と青砥純子、それから鴻野警部補のどこかとぼけたやり取りを読むだけでも楽しめる作品でした。