ミステリー

『夜よ鼠たちのために』連城三紀彦【感想】

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連休中の読書のお供に読んでみました。

ということで今回紹介する本は『夜よ鼠たちのために』です。表題作をはじめ9編のミステリーが収められています。

作品

以下9編の作品が収められています。

①二つの顔

②過去からの声

③化石の鍵

④奇妙な依頼

⑤夜よ鼠たちのために

⑥二重生活

⑦代役

⑧ベイ・シティに死す

⑨ひらかれた闇

印象に残った作品

特に印象に残った作品は「過去からの声」でした。

わずか2年で刑事を辞職した語り手が、ある誘拐事件について語ります。

それはとある実業家の一人息子が誘拐され、誘拐犯は5百万円の身代金を要求してくるという、ごくありふれた事件でした。しかしその誘拐事件の裏には「もう一つの誘拐事件」があって……という話。

40頁程度の短編ですが、実際に刑事ドラマでありそうな筋書きだなと思いました。

登場人物の関係に騙される

収められている大体の作品にあてはまると思うのですが、登場人物の関係の錯覚みたいなのがすごく描かれています。例えば妻と愛人の関係が逆とか、主人公と代役が逆転しているとか、調査するはずの探偵が調査されているとか。まさに人間関係のミステリーという感じです。

静かな気持ちになれる本

暗い話が多く(強いて言えば「化石の鍵」は唯一ほのかな光明があるか?)楽しい気持ちになるのは難しい本ですが、隙間時間に静かな気持ちになるためにはもってこいの本かもしれません。