サスペンス

『ゲストリスト』(ルーシー・フォーリー)【感想】

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現代版嵐の孤島ミステリの文字に惹かれて手に取りました。

ということで今回紹介する本は『ゲストリスト』です。ネタバレありです。

あらすじ

舞台はアイルランド沖の孤島。そこで1組のカップルの結婚式が開かれた。花嫁のジュールはウェブ雑誌の創設者、花婿のウィルはサバイバル番組の主演スター。2人はまさに華々しいカップルだった。しかしそこには様々な思惑が潜んでいた。婚礼の夜、参加者の胸に過去の出来事が去来する。そして、明かりが消える。

感想(ネタバレ)

そして誰もいなくなった?

孤島ミステリといえばアガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』が思い浮かびます。

『ゲストリスト』は結婚式の前日から当日の話が描かれ、また、主に6つの視点(花嫁、花婿、花嫁介添人、花婿介添人代表、花嫁の親友の妻、ウエディングプランナー)で話が進むので、あぁこの人たちが皆死んでしまうのかなと思いましたが、違いました。死ぬのは1人です。誰が死んでいるのかわかるのも物語のかなり後半です。

オリエント急行の殺人

本作を読み終わって思ったのは『そして誰もいなくなった』よりかは『オリエント急行の殺人』に近いところがあるなということでした。

『オリエント急行の殺人』では、物語の序盤で1人の男が殺され、その男がある誘拐殺人事件の犯人であったことから、事件の真相を究明していくという話です。乗客全員が事件の関係者であったところがミソです。

『ゲストリスト』でも、花婿を巡る過去の事件の関係者が孤島に集結しています。しかも、招待する側もされる側も、そうとは知らずに集まっているところが面白いです。どんだけ悪さしてるんだ。ま、結婚式には花嫁・花婿の関係者が集まるわけですから、ありえない話ではないよなと思いました。

悪いことはしちゃだめだ

さて、最終的に花婿を殺害したのはある1人の人物だったわけですが、花婿が様々な人から恨みを買っていたこともまた事実。処世術として自分の障害となるものは消すという行動をとった花婿、しかし消された人にも家族あり友人あり、結果敵は増え恨みは膨らむばかりです。

とうわけで、月並みですが、悪いことはしないに限るということを本書から学びました。