ミステリー

『スタイルズ荘の怪事件』(アガサ・クリスティ)【感想】

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久しぶりに読み返したいクリスティ作品。というわけで今回紹介する本は『スタイルズ荘の怪事件』です。ポアロ初登場作品です。

あらすじ

傷病兵のヘイスティングズは、友人のジョン・カヴェンディッシュの勧めで1か月の療養休暇をスタイルズ荘で過ごすことにした。しかし静謐なスタイルズ荘でののんびりとした日々は続かなかった。スタイルズ荘の女主人エミリイが毒殺されたのだ!

当のエミリイは最近20歳も年下の男と結婚したばかり。しかし最も怪しいその夫は事件当日、スタイルズ荘にはいなかった…。

事件を目の当たりにしたヘイスティングズは、知り合いの名探偵、ポアロの元へ向かう。

美しい女性たち

スタイルズ荘には女主人エミリイとその息子たちをはじめとした人々が住んでいます。ヘイスティングズ目線で語られるからか、特に女性が魅力的に描かれています。

例えばジョンの嫁メリイ・カヴェンディッシュの描写はこんな感じ。

輝かしい陽光のなかに形づくられた、彼女のすらりとした背の高い姿、きらめく焔のように生き生きとした感覚というような言葉は、彼女の瞳のためにできたのだろうか、美しい褐色の彼女の瞳、すばらしい瞳(中略)私はそれらを決して忘れないであろう。(13頁)」

もうひとりシンシア・マードックというこれまたスタイルズ荘に住む薬剤師に対するコメントはこんな感じ。

生命力と元気にあふれた、新鮮な感じの若い娘だった。(中略)黒い瞳とまつ毛をもった彼女は、まあ美人と言ってもいいだろう。(18-19頁)」

ヘイスティングズの好みはメアリなんですかね、私はシンシアが好きですが。…しかし友人の嫁にそんな夢中になって大丈夫なのかしら。

大人の複雑(?)な人間関係

本作は、犯人はどうやってエミリイを毒殺したのかという部分が結構重要なのですが、もう一つ、スタイルズ荘に住む人々の人間関係も重要になってきます。端的に言うと恋愛事情です。ま、最後はめでたしめでたしなのでよかったです。やっぱりシンシアは可愛いな。

 

昔小説で読んだものを今回はAudibleで聴きましたが、朗読ではヘイスティングズの人の良さというか、いい人なんだけどモテない男といった感じが存分に表現されていてこれまた面白かったです。