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『RYU』(柴田哲孝)【感想】

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家の中で野生を感じよう、というわけで今回紹介する本は『RYU』です。

あらすじ

放浪の旅を続ける有賀雄二郎。行く先々での出来事を書いた記事を雑誌社に送り、糊口を口にしている。ある日雑誌社から1通の手紙を受け取った有賀。そこには謎の動物らしきものの写真が同封され、また、撮影者の米兵が行方不明であることが記されていた。場所は沖縄県の金武町。

写真の正体は何なのか、愛犬ジャックとカメラマンのコリンとともに有賀は沖縄の地へ赴く。

人間とペットとの関係

物語の最初のほうでは、有賀の居候先のロッジで飼っていたグリズリーが檻から逃げ、飼い主がそれを撃ち殺すシーンがあります。結局飼い主ではなく有賀がグリズリーを撃ち殺したのですが、長年連れ添った動物に対して並々ならぬ情が湧くのが人間なのだと思いました。だから自分の手に負えないものを飼うのは大変なことなのだなぁと。

そいえば『花村遠野の恋と故意』でも、飼い犬にケリをつけられなかったことで悲劇が起きていた記憶があります。

家畜との関係

安佐次の村では家畜が姿を消す事件が多発しています。有賀たちが訪れた日も、山羊が1匹何者かに殺されていました。

大切に飼われていた山羊も、死んでしまえばただのシシ(肉)にすぎない。それを食い、酒を飲むことは、供養でもある(86頁)」

食べることが供養という考えはなかったので、やはり家畜とペットは別物なのだなと思いました。

著者近影

どうでもいいことですが、カバー裏にある柴田哲孝氏の写真と、三浦大知さん『(Re)PLAY』のミュージックビデオに登場するダンサーMr. Wigglesがなんか似ていると思いました。キャップで目元が隠れて髭が生えていれば皆似て見えるのかもしれませんが。

 

話は一貫していて内容になじみのない自分でも無理なく読めましたし、なにより字が大き目で読みやすい小説でした。おそらく釣りなど嗜んでいる人ならもっと面白いと思います。