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『ヴィオラ母さん』(ヤマザキマリ)【感想】

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以前本屋に寄った時には在庫切れになっていた本書。入荷されていたので読みました。

というわけで今回紹介する本は『ヴィオラ母さん』です。

主な内容

ヴィオラ奏者として国内外を駆け回り、娘2人を育てたヤマザキマリさんの母リョウコさんについて書かれた本です。

学生時代はまさに深窓の令嬢とも呼べる生活をしていたリョウコさんはしかし、札幌の交響楽団に入るため、会計事務所の仕事を辞め、親に半ば勘当される形で北海道の地へ赴く。

女性が外で働くことが一般的でなかった時代に、ヴィオラ奏者として国内外で活躍し、また女手一つで娘2人を育てるリョウコさん(最初の夫とは死別、2人目の夫とは離別している)、その破天荒な生き様。

印象に残ったこと

印象に残ったのは、リョウコさんの育児日記。「今日はパパの誕生日。とても寂しかった(引用者注、リョウコさんの最初の夫は、長女のマリさんが生まれて間もなく亡くなった)(220頁)」からの「でもまりはとても明るい。なにも知らない今も、なんでもわかる大人になってからも、きっと今のままにね。なんでも許し、誰でも愛して、誰からも愛されますように(220頁)」

無敵っぽく見えるリョウコさんも、寂しいとか辛いとか言った感情を持っていて、それを乗り越えて生きてきたのだなと思いました。

また、小学校のI先生の言葉「この社会で活き活きと生きること。たとえいつも一緒にいられなくても、一生懸命に働き、満足していること。それを知ってもらうことも、素晴らしい母親のあり方です(86頁)」を励みにしていたというエピソードからは、どんなに強く見える人も一人きりで生きているわけではないということを再確認しました。

 

子育てに悩んでいる女性なら、一度は読んでみてほしい本だと思いました。参考になるというより、悩みが吹っ切れそうです。しかし、夢中になれるものを持っている人は最強だな。