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『やってみなはれみとくんなはれ』(山口瞳、開高健)【感想】

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めっきり寒くなった今日この頃、ホットウイスキーはいかがですか。

というわけで今回紹介する本は『やってみなはれみとくんなはれ』です。もともとはサントリー(株)の社史「やってみなはれ サントリーの70年Ⅰ」に書かれたもののようです。

主な内容

サントリー創立70年の社史を、同社の宣伝部にいた山口瞳氏と開高健氏が書いています。

前半はサントリー創始者の鳥井信治郎氏の、後半は二代目の佐治敬三氏(鳥井信治郎氏の次男)の熱い戦いの記録です。

芥川賞作家と直木賞作家を輩出する企業

サントリーに勤めていた開高健氏は芥川賞作家、山口瞳氏は直木賞作家だそうで、一民間企業にそんなコンビが存在していたなんて、それだけでもサントリーはすごい会社だなと思いました。2人とも宣伝部でコピーライターをしていたそうです。私が知っていたのは「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」だけでしたが、これは山口氏の作だそうな。

「これや!」「やってみなはれ」「陰徳あれば陽報あり」

創始者鳥井信治郎氏の圧倒的熱量は本書を読んでいただくとして、特徴的な言葉を羅列するだけでも、その熱は少し伝わると思います。こんな言葉を発する人と、激論を交わしていた社員たちと、相当なエネルギーがそこにあっただろうことは想像に易しいです。

運を買う会社

印象に残ったのが、鳥井信治郎氏は時の運を重視したというところでした。

ある時期の寿屋の入社試験は、四柱推命だった。姓名判断の占いだった。人間を雇うのではなく「運」を雇うのである。その運を会社がもらうのである。(93-94頁)」

自分が就活生で、面接を受けて姓名判断が悪いからお断りなんて言われたら頭にくるかもしれませんが、不幸そうな感じで働いている人ばかりの会社は、「運」をみて採用してみるのも一つの手かもしれないなと思いました。

ま、四柱推命は採用を見送るときの口実だったのでは、と山口氏は推察していますから、どこまで本気だったかはわかりませんが。

 

本書を読んで、今のサントリーがどんなか気になってホームページを覗いたら、10月13日から「オランジーナ マスカットスパークリング」が季節限定発売だそうです。とりあえず買おうかな。