ミステリー

『NかMか』アガサ・クリスティ【感想】

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今回紹介する本はアガサ・クリスティの『NかMか』です。トミー&タペンスシリーズの第3作目です。

あらすじ

時は1940年、第二次世界大戦下のイギリス。ドイツの諜報員「N」と「M」の正体を探るためトミーとタペンスは正体を隠しリーハンプトンの<無憂荘>へと赴いた。果たしてそこで「N」か「M」を見つけ出すことはできるのか?

不運にも敵の手に落ちたトミーと勇敢にも敵地へ殴り込むタペンスの、ドタバタでスリリングな冒険譚。

タペンス強し

この仕事はもともとトミーの単独任務であり、タペンスには内緒で遂行されるはずでした。しかしトミーの任務をかぎつけたタペンスは先回りして<無憂荘>にお客として滞在しています。

作中トミーは46歳、タペンスもおそらく同じくらいの年齢だと思いますが、いやはやすごい行動力です。つい『解放 ナンシーの闘い』のナンシーを思い出してしまいました。うーむ、結局強い女は強いな。

46歳で年寄だって?

物語の冒頭で、トミーもタペンスも仕事が見つからないという話しています。どうやら年齢が問題のようです。

なあタペンス、人間わずか四十六歳で、よぼよぼのじいさん扱いされるなんて、あんまりじゃないか。陸軍、海軍、空軍、外務省、どこも口裏を合わせたように同じことを言う。あんたは年を取りすぎてる。」(7頁)

46歳って絶賛働き盛りな感じがしますが、当時のイギリスだともう隠居するような年なんですかね?いずれにしろ、仕事がしたいのに仕事がない状態の2人にとって、この「スパイを探せ」活動は願ってもない僥倖だったと思います。

クリスティ作品の中でも軽い読み物

クリスティ作品は全般的に読みやすいのが特徴だと思いますが、本作はその中でもさらにライトな読み物だと思いました。

トミー&タペンスシリーズの3作目にあたる本作では46歳、2人の子どもも独立しています(最終作の5作目では二人とも75歳になっているらしいです)。

第1作では20代の2人が描かれているようです。なんでか第3作から読んでしまいましたが、次はシリーズ第1作目の『秘密機関』を読みたいと思いました。

1作目の内容を知らなくても本書は面白く読めましたが、知っているとより楽しめそうです。